【腎臓病 その1】 
 腎不全のために人工透析を受ける人が、昨年末で229,538人(日本透析医学会調査)に達した。80年は約50,000人。この20年間で4倍以上も増えていることになる。毎年30,000人以上の人が新たに人工透析を余儀なくされ、減る傾向は見られない。
 腎臓病に対する啓発活動にも熱心に取り組んでいる順大医学部の富野康日己教授(腎臓内科)は「透析に至る疾患で1番多いのは、糖尿病から起こる糖尿病性腎症です。98年から免疫が関係する慢性糸球体腎炎を抜いてトップになりました。3番目は高血圧。腎臓病は生活習慣病の範囲に入っていませんが、この側面を強調する必要がありますね」という。
 腎臓は、“沈黙の臓器“と呼ばれるくらい自覚症状が出にくい。腎不全と診断されるのは、腎臓の働きが30%以下になってからだ。体の変調が無いのに、いきなり腎不全になっているケースもある。とにかく早期発見、早期治療が重要なのだが「腎臓がどれほど大切な働きをしているのか、良く知らないという人も多い。そこが早期治療につながらない面が確かにある」富野教授は指摘する。
 腎臓が尿をつくり、余分な水分や老廃物を体外に排出する働きがあることは、誰でも知っている。しかし、さまざまなホルモンを分泌して体内環境を整えていることへの認識が高いとはいえない。血圧を調整するレニン、骨髄に作用して赤血球をつくるポリスロポエチン(造血ホルモン)を分泌するほか、カルシウム吸収を促進するビタミンDを活性化するのも腎臓の働きだ。血液など体内を弱アルカリ性に保つ役割もある。
 「腎臓病は、命取りになりかねない病気なのです。健診などで異常値が出たら、甘く考えないで専門家の診断を受けるようにしてください」と富野教授は強調する。
 腎臓も加齢のとともに衰える。厚生労働省の研究班調査では、健康な人でも60代では若いころ(20〜30代)の7割、70代になると6割程度まで腎機能は落ちる。

--- 日刊スポーツ朝刊、体の危機管理より抜粋 ---

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 【腎臓病 その2】 
 最近、中高年に増える傾向が指摘されている腎臓病に急速進行性糸球体腎炎と呼ばれるものがある。1ヶ月も経たないうちに腎不全になってしまうケースさえある。発病初期は無症状だが、微熱、倦怠感、食欲不振などの症状も表れてくる。さらに進行すると呼吸困難、出血傾向、意識障害など尿毒症症状が出る。原因は不明だが、白血球の仲間である好中球が関係することが分かってきている。

 「日本では免疫が関係しているIgA腎症と呼ぶ腎臓病が、海外と比較するとかなり多い。体質、遺伝的要素もあるので、腎臓にはもっと気を配って欲しい」と言うのは順大医学部腎臓内科の富野康日己教授。
 障害を起こした腎臓組織を再生することは、現在のところできない。そこで腎臓病の治療は、病気の進行をいかに遅らせるかがポイント。具体的には、食事療法と薬物療法が進行を抑えるカギとなる。

 食事療法では、“たんぱく質を制限する““エネルギーを十分摂る““塩分を控える“が3本柱。日常生活では、寒さにも注意した方がいい。腎臓への血流量が減り、血圧が上がることがある。喫煙、飲み過ぎ、過度の運動も腎臓に負担をかける。血糖・血圧のコントロールは薬物治療でも重要となる。

 学校検尿や健康診断などで、腎臓の健康状態はかなり把握されるようになってきた。糖尿病、高血圧、動脈硬化といった生活習慣病を防ぐことが、腎臓病の予防になることもはっきりしている。それでも、新たに人工透析治療が必要な患者数は増えている。
 「自覚症状が無いのに、自己管理をすることは確かに難しい。しかし腎臓は一度壊れたら治りにくいことを再確認してもらいたい。腎臓に関心を持つことが早期発見にもつながります」と富野教授は訴える。

--- 日刊スポーツ朝刊、体の危機管理より抜粋 ---

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 【腎臓病 その3】 
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